ベトナム旅行のハイライトの一つ、それが美食体験です。特に首都ハノイには、旅の疲れを癒してくれるユニークで美味しいドリンクがあります。それが、まるで飲むティラミスのような、カフェチュン(Cà Phê Trứng)、通称「卵コーヒー」です。
見た目のインパクトと、口に入れた瞬間の驚きから、多くの旅行者を虜にするこの一杯。今回は、その奥深い歴史から、ハノイで訪れるべき名店まで、カフェチュンの魅力をたっぷりご紹介します。
🥚 卵コーヒーの誕生秘話
この不思議なドリンクが生まれたのは、1940年代のハノイ。当時のベトナムでは、牛乳が非常に貴重で高価でした。
そこで、フランス植民地時代のホテルでバリスタをしていたグエン・ザン氏が、牛乳の代用品として卵黄とコンデンスミルクを泡立てることを考案しました。これがカフェチュンの原型です。
戦争で店を失ったグエン氏は、後に「カフェ・ザン(Giang Cafe)」を創業し、このユニークなドリンクを広めました。貧しい時代が生んだ創意工夫が、今やハノイを代表する名物となっているのです。
3つの魅力:なぜ卵コーヒーにハマるのか?
- 驚くほど濃厚でクリーミーな口当たり:卵黄とコンデンスミルクを丁寧に泡立てて作られたクリームは、まるで上質なムースのよう。口の中でとろけるような滑らかさで、一口飲んだだけで「これは別格だ!」と感じるでしょう。
- 甘みと苦みの絶妙なハーモニー:卵クリームのまろやかな甘さが、ベトナムコーヒー特有の力強い苦みと見事なバランスを保っています。甘いだけではない、深みのある味わいです。
- 温かさと冷たさのコントラスト:熱々のコーヒーの上に冷たいクリームが層になっているため、一口飲むたびに温かさと冷たさが混ざり合い、その温度のコントラストが味をさらに引き立てます。
絶品卵コーヒーを味わうならここ!ハノイの名店3選
- カフェ・ザン (Giang Cafe):卵コーヒーの元祖であり、ハノイのカフェ文化を語る上で欠かせない存在です。路地裏にひっそりと佇む小さな店ですが、創業以来受け継がれてきた本物の味を体験できます。
- カフェ・ディン (Cafe Dinh):カフェ・ザン創始者の娘さんが開いたお店。ホアンキエム湖の近くにあり、観光の合間に立ち寄るのに便利です。ザンよりも少しあっさりとした味わいで、こちらも老舗の雰囲気が魅力です。
- コン・カフェ (Cong Caphe):ベトナム全土に展開する人気のチェーン店。店内は社会主義時代のレトロな内装で、どこか懐かしい雰囲気が漂います。カフェチュンだけでなく、ココナッツコーヒーなどユニークなメニューも豊富。市内に多くの店舗があり、アクセスしやすいのが嬉しいポイントです。
予算の目安
街中の路面店やホーカーセンターでは、30,000VND(約180円)前後で楽しめます。おしゃれなカフェやチェーン店でも、40,000〜60,000VND(約240〜360円)程度と、日本に比べて非常にリーズナブルです。
ハノイを訪れた際は、ぜひ歴史と文化が詰まった特別な一杯を体験してみてください。きっと旅の忘れられない思い出になるはずです。